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注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHD

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、年齢や発達に不釣り合いな注意力の欠如(不注意)、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害です。
通常7歳前に気になる症状が現れ、発達や年齢にあわない状態が継続することにより気づくことがあります。

定型発達児に比べると精神年齢が幼い場合が多く、ADHD児の精神年齢は実年齢の2/3と考えたほうが支援がしやすいようです。
ADHDのお子さんの9割は学習上の問題があり、ADHDの30%にLD(限局性学習症)があると考えられています。
また教師に対して敏感な子が多く、担任次第でその1年がすばらしい年にもなるし、破壊的な1年にもなります。
そのようなことなどから社会的な活動や学業等に支障をきたすこともあり、自己評価や自尊心の低下により二次障害へとつながりやすくなります。


ADHDの型による特徴

ADHDには「不注意型」「多動性-衝動性優勢型」「不注意型と多動性-衝動性の混合型」の3つがあります。

不注意優勢型

①不注意優勢型
   特徴:友達との関りで問題になることがなく、教室でも目立たないためADHDとは気づかれにくい
  ・細かいところまで注意を払わない(ケアレスミスが多い)
  ・整理整頓ができない
  ・忘れ物が多い
  ・物をなくしやすい
  ・気が散りやすく集中ができない

多動性

②多動性-衝動性優勢型
   特徴:ささいなことでつい手が出てしまったり、大声をあげてしまうこともあるため「乱暴な子」「反抗的」という目で見られがち
  多動性
   ・落ち着いて座っていられず立ち歩くなど、身体が常に動いている
   ・集団での活動におとなしく参加できない、しゃべりすぎる

混合型   衝動性

    ・質問の途中で出し抜けに答えてしまう
    ・順番が待てない
    ・興味があると考えるより先に行動してしまう

 ③不注意型と多動性-衝動性の混合型
   特徴:上記①と②の特徴を併せ持つ

注意欠如・多動症に関連する神経機構

ADHDは中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されており、ドーパミンの働きの異常やドーパミン不足であることが考えられます。

ドーパミンの働き 実行機能回路の問題《前頭葉》
 ①心の中に情報を留め置き、引き出すワーキングメモリが少ない
  ⇒情報を出すのが苦手なため、ヒントやとっかかりとなることをたくさん挙げるなどのサポートをする
 ②言葉で行動を制御することができない
  ⇒子どもを叱るのではなく行動を叱る(この行動は許されない、こうしよう)
 ③気分・覚醒状態を制御することが苦手
  ⇒抑制機能を鍛え、我慢力を養う(旗揚げテスト、じゃれつき遊び)
 ④行動を分析し、解決方法を再構築できない
  ⇒正しいことに気づける脳を育てるため、なぞなぞや間違い探し、読み聞かせなどでわざと間違うなどをして、間違いを指摘させる
報酬系回路の問題《尾状核・側坐核》
 遅延報酬を待てない⇒すぐにほめることが大切
時間処理機構の問題
 時間内に終える段取りや、時間を守ることができない⇒一緒に考えてあげる

前頭葉を活性化するポイント

前頭葉の活性化

  ●考えさせる(イメージや工夫)
  ●推測させたり見通しをもたせる
  ●希望をもたせる
  ●便利なものを使わず、複雑なことをさせる
  ●複雑な人間関係におく
  ●見られている自分を意識させる
  ●待たせる
  ●我慢させる
  ●緊張感を与える
  ●楽しませる・夢中にさせる
  ●表現させる
  ●運動させる
  ●読書させる

ADHD児への対応について

《学校生活などでの対応》
ADHD  ①気持ちを十分に受け止めて落ち着くまで冷静に待つ。落ち着いたら一緒に状況を整理し、どうすべきだったかを考える。
  《注意》厳しく叱責したりなだめることが逆効果になることがある⇒逆にその行動を強めることがある
  ※乱暴や危険な行動に対しては毅然とした態度で制止する必要がある

 ②子どもの気持ちを落ち着かせる緊急避難場所を用意する
  気持ちが落ち着く場所が決まっていると安心する(保健室、図書室、校長室、相談室など)

ADHD

 ③学校全体で対処法について考え、共通理解を図る
  興奮が治まらない時や教室・学校を抜け出した場合に備え、校内の連絡、対応などを整える
  ※周囲への子どもへの指導、対応などの役割分担を決めておく

 ④特性に配慮して、子どもが成功体験を積めるようにしたりほめたりする
  ・子どもができたと思える経験を増やしていく⇒失敗しても前向きに取り組めたことを認め、ほめる
  ・「今はできない」「やめてほしい」など、嫌なことや拒みたい時の言葉が言えるようにする
  ・言葉で表現できたことを大いにほめる
  ・自分の気持ちを伝えられる人を見つける(担任、友達、養護教諭、図書司書など)

《家庭での対応》
4大原則

~9つの戦術~

①毎日のスケジュールを決める
 予定表を作成する、予定を把握するなど子どもと一緒に予定を確認することが大切です。
ゲームやスマホなどがやめられない場合が多いので、ルールを作ったりゲームなどをやめる練習をします。
ネットリテラシーを育てることが重要なので、親もネットの知識が必要です。

②注意することを厳選する
本当に困っていることだけを注意するようにし、注意することに優先度をつけます。
大:犯罪・暴力・自傷  中:家のものを壊す、お金を持ち出す、喫煙、飲酒、門限  小:日常生活のマナーやルール、生活習慣など

③気になる行動を書き出し対策を考える
 1.家庭における問題
 2.それぞれの問題について解決策を考える
 3.方法が決まったら紙に書きだして目立つところに貼っておく
④やる気を引き出す2つの方法(ポイント制/ゴールカード)
⑤ほめて育てる
子どものいいところを見つける。持続しているときにほめる。
⑥子どもにわかるよう愛を伝える
 「大好き」と伝え、抱きしめてあげる
⑦方法を具体的に教える
 片付けや準備など、できないことの理由はやり方がわかっていないだけかもしれない。
⑧ペアレントトレーニングを受けてみる
 ADHDの子どもの親に効果的な子育てのスキルを教えるもの。両親が受講するとさらに効果的になることが多い。
⑨父母が協力し合う
 夫婦一緒にADHDに取り組み、お母さんの話をお父さんが聞いてあげることがとても大切。
 子育てに頑張っているお母さんに水を差したりしないようにする。

ADHDの薬物療法

親や教師は薬物療法についての基礎知識を持ち、薬物療法が始まったらノートに変化を記録します。

薬物療法

●コンサータ(メチルフェニデート)脳内神経伝達物質のドーパミンを増やして、多動性・衝動性を抑え不注意を改善する。
朝一回の服用で約12時間効果が続く。
副作用⇒食欲不振(とくに昼食時)、寝つきが悪くなる、まばたき・唇をなめるなどのチック

●ストラテラ(アトモキセチン)脳内神経伝達物質のノルアドレナリンを増やす。
1日2回の服用で飲み始めてから聞き始めるまで2~3週間かかる。1日中効果が持続し、食欲不振などの副作用が比較的少なく睡眠の質が良くなる。
副作用⇒むかつき、腹痛、下痢、眠気などが見られることもある。

●インチュニブ(グアンファシン)もとは血圧を下げる薬で、ノルアドレナリンを増やす。1日1回の服用
副作用⇒眠気、ぼうっとする、体がだるい、ふらつき、めまい、頭痛、立ちくらみ

●ビバンセ(リスデキサンフェタミン)
コンサータ同様中枢神経刺激剤。ほかの治療薬に効果が不十分な時に使われる。
副作用⇒食欲不振、不眠、頭痛、悪心

オススメのグッズ

重いひざかけ

やわらかな感触だけれど、ずっしり重い!その重みが安心感や落ち着きを取り戻してくれます。
イスにじっと座っていられないお子さんの膝にのせることにより大人しく座っていられるようになったり、感情的になってうつぶせに倒れているお子さんの背中に乗せてあげると落ち着きを取り戻します。
ただし、気になって触ってしまったり遊びだしたりしてしまう子には不向きです。
「プレジデントファミリー2020秋号」でも取り上げられました。たーとるうぃずHP

参考文献

生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした

子どもの育てにくさから自分の発達障害に気づいたお母さんが主役のマンガです。2人のお子さんにも発達障害があることに気づき、自分と子どもの生活と成長が描かれ、苦悩する日々が綴られています。
自分と子どもを理解できれば気持ちが楽になりどうすればよいのかも見えてくる。あきらめず受け入れることが大切だと考えさせられるお話です。

凸凹子どもがメキメキ伸びるついでプログラム

子どもの身体が発達すれば気になる問題行動も少なくなります。呼吸、足(偏平足)、自律神経など体のバランスから運動器の機能について考えられた内容です。
無理なく普段の生活に取り入れることで子どもの心も体も発達し、気になる行動も少なくなってくると考えられています。

ケーキの切れない非行少年たち

話題となった本。医療少年院の子どもたちと接してきた著者が少年たちの認知機能の低さに気づき、それが原因で犯罪に至ってしまったのではないかと問いかける一冊です。
発達障害と診断されることがなく見過ごされてきてしまった少年たち、または障害とはいえないまでも知能指数がボーダーラインの狭間にあり対処がされてこなかった少年たちに目を向けた納得の内容です。

コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング

環境対話法とはADHD,、高機能自閉症、AS,LDを対象とした療育プログラムです。
「ケーキの切れない非行少年たち」の著者である宮口幸治さんの認知機能トレーニングです。神経心理学リハビリテーションを原型とし、発達途上にある認知機能の強化を目指す内容です。

親と教師のためのADHD・ASを変える環境対話法

環境対話法とはADHD,、高機能自閉症、AS,LDを対象とした療育プログラムです。
障害の特性を理解し、脳機能を育てる方法を考えます。家庭ですぐに取り入れられるような取り組みやすいことがたくさん。
前頭葉や偏桃体を育てる方法を知っておくだけでも役に立ちます。

薬に頼らず子どもの多動・学習障害をなくす方法

日本人の9割が、鉄やたんぱく質不足である。妊娠中の母親の栄養不足とその後の食生活が子どもの問題行動を引き起こします。
妊娠中に貧血などの指摘をされた方にはぜひ読んでもらいたい一冊。妊娠期に母胎の鉄が枯渇すると、胎児の神経の発達に影響を及ぼし、それが脳など中枢神経の発達に滞りを起こしているのかもしれません。
できれば薬を飲ませずに、普段の生活の中で身体に優しく発達障害を治していきたいと考えるお母さんはぜひ読んでみてください。

自傷・他害・パニックは防げますか? 二人称のアプローチで解決しよう!

ADHD 注意欠如・多動症の本

さまざまなADHDの本がありますが、数ある本の中でも新しくて役に立つ情報が盛りだくさんです。
ADHDのお子さんをのび太(不注意型)とジャイアン(多動性-衝動性)に例えた「のび太・ジャイアン症候群」などを執筆した精神科医である著者が、これまで診察してきたたくさんのお子さんの症例をもとに対策や改善に至るまでの方法が紹介されています。

感覚過敏は治りますか?

感覚過敏を治すことができるのは医者ではありません。子どもの感覚過敏を治すことができるのは親の力です。
首、あご、股関節、足など体の状態をよく観察し、感覚器官を育て、間接的なアプローチを行うことで改善されるかもしれません。

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